― 霧香のひとやすみコラム ―
呼び方が変わったのは、いつだったかな?
「社長」と呼ばれるようになったタイミングのことを、後から振り返ってみると。
実は、多くの二代目社長が、ある共通点に気づきます。
それは、単に社長に就任してからの時間が経ったからでも、自分も周囲も慣れたからでもないんです。
会社を継いで社長になったのに「二代目」とか「若社長」と呼ばれるのは、そこにはやはり意味があるのだと思います。
そんな「二代目」が、真の「社長」となって、周囲からも「社長」と呼ばれるようになるタイミング。
今日はそれを、私の体験からお話してみようと思います。
私は、多くの二代目社長と出会ってきましたが、いつも質問することがあります。
それは「どのタイミングで周囲に自分のことを“社長”だと認めてもらえたと思いますか?」です。
この質問の意図は、また別の機会に語るとして、だいたいの二代目から同じような答えが返ってきます。
「何か一つ、目に見える成果を、自分の力で出した直後」
どうですか?
私はこれに気づいた時、思わず唸ってしまいました。
ある二代目の自信
ある二代目の方は、こんな話をしてくれました。
継いでから、ずっと「専務」と呼ばれ続けていたんですよ。
それは、以前も少しお話ししましたよね?
その二代目の場合、転機になったのは、ある大口の取引先との契約更新だったそうです。
正直、社内の誰もが、「今回は厳しいだろうな」と諦めムードだったそうです。
先代の代からの、少し気難しい取引先で有名でしたから。
条件面でも、かなり厳しい要求をされていました。
「専務(二代目)にはちょっと荷が重いんじゃないかなぁ?」
でも、その二代目は、諦めなかったんです。
何度も何度も足を運び、相手の本当の懸念を聞き出し、自分なりの提案を練り直し続けた。
そして、大方の予想を裏切るように、見事に契約は更新されました。
それも、以前より良い条件で。
その報告を社内でした、翌週のことだったようです。
朝礼で、古参の部長が、こう言ったそうです。
「社長のおかげで、うちの主力取引先が守られましたよ、ほんとうに驚きです」
「社長」と、はっきり言われたのは、その時が、初めてだったそうです。
「社長」と呼ばれ始めた日
これは、決して、偶然の一致ではないと思いませんか?
「専務」「若社長」「二代目」という呼び方には、周囲の、ある種の”様子見”の気持ちが、含まれています。
「まだ、先代の代わりが務まるかどうか、わからない」という…。
そういう、判断保留の状態が、呼び方に、そのまま表れているんです。
でも、目に見える成果を、自分の力で出した瞬間。
周囲の中で、「様子見」が、「信頼」に切り替わります。
こんな例は少なくないですが、一瞬で変わります。
そして、その信頼の証として、初めて、「社長」という呼び方が、自然に口から出てくるようになるんですよね。
これは決して周囲が掌を返したわけではなくて、素直に「認めた」瞬間なのだと思います。
きっかけと相乗効果
面白いのは、この呼び方の変化が、本人にも、はっきりとした自信を与えてくれることです。
明らかに相乗効果です。
成果を出したという事実だけでも、もちろん自信にはなります。
でも、それ以上に、周囲から「社長」と呼ばれることで、その自信が、外側からも裏付けられるんです。
「自分は、本当に社長になれたんだ」
内側の実感と、外側からの承認が、同時に重なる瞬間。
これほど、力強い相乗効果は、なかなかないと思います。
なかなか、やろうと思ってもできることではありませんが、多くの二代目が通る道です。
今日の例では、「一つの成果」がトリガーでしたが、何がきっかけになるかはわかりません。
やるべきこと
あなたがもしも今、「専務」やら「若社長」やらと呼ばれ続けていて、少し焦りを感じているとしたら。
焦って呼び方を変えさせようとするより、目の前の一つの成果に、集中してみることを是非お勧めします。
その成果が、いつか、誰かの口から、自然な形で「社長」という言葉を引き出してくれます。
そしてさらにプラスアルファの効果ですが。
あなた「社長」呼ばれている姿を見た、先代もまた自分事のように喜びますし、その姿は、例えば、取引先であったり、或いは顧問税理士や銀行の融資係などにも大きな影響力を持つのです。
一つの成果にこだわって全力を尽くす姿が周りに及ぼす素晴らしい効果ですね。
そして、その日は、あなた自身にとっても、静かに、でも確かに、経営者としての自信が根を下ろす日になるはずです。
その日の意義は、会社にとっても大きな記念日なのかもしれませんね。
「思考資産」承継デザイン研究所
霧香ゆうひ


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