「主宰」と名乗ってみたら、私は何も変わっていないのに、相手の顔だけが変わった

「主宰」と名乗ってみたら、
私は何も変わっていないのに、相手の顔だけが変わった

事業承継の現場で、二代目が「肩書き」に追いかけられる、あの感覚のお話

私、今月から、名乗りを変えたんです。

これまでは「心理カウンセラーで、本を書いています」。
今は「『思考資産』承継デザイン研究所 主宰」です、と。

理由はいろいろありますけど、一番は、自分で自分の脳内をデコードした結果ですかね、こうなった、ということだとうおもうんです。
(デコード、わかりますか? わからなくても大丈夫です。今日はひとやすみですからね)


スマホを見せた、30秒のこと

先日、ある女性に、スマホでこのサイトを開いて見せたんです。
「私、こんなことをやっていまして」と。

その人は、「へぇ」と言いながら、少しスクロールしたあと、思い立ったように、グランドメニューの「プロフィール」を軽くタップしました。

出てきたのは、スーツを着た、明らかにスタジオで撮ったとわかる私の写真です。
その人は、それを指で軽く上に送って、その下にある「主宰:霧香ゆうひ」の文字を見つけました。

そして、目を少し大きく見開いて、
「す、すごいですね」と。

その間、約30秒です。
たったの30秒ですよ!

たぶん、私が何をやっているのかも、主宰がどんな立場なのかも、わかっていなかったと思いますけど。

それでも、「この人は、研究所を運営している人なんだ」と、ストレートに受け取ってくれたんでしょうね。


何も変わっていないのに

その時、私は感じました。

そうです。
でもだからと言って、私は、何も変わっていません。
そして二人の関係性に何か影響があったわけでもなくて。

でも、相手の反応は、明らかに変わるんです。

そして正直に言うと、私は照れくささは、まったくありませんでしたね。
あったのは、誇らしさと、言葉にならない嬉しさです。
(うーん、言葉にしにくい。笑)

ほんとうに、何も変わっていないんですよ?
スマホを開いて、30秒見せただけ。
それなのに、二人の間に、何も変わってはいないけど、一瞬で何かが生まれました。

それは羨望?だったのかもしれません。
私の側から見れば、自惚れ?だったのかもしれません。

お金を生んでいるわけではないので、社長ではありません。
でも、私は“自分を大きく見せようとするような”何一つ、嘘は言っていません。

きっとその人は、「研究所」「整った写真」「主宰という肩書き」、この3つを、過去の経験から一瞬で脳内で演算したんだと思います。

もちろん、そのあと、ちゃんと言いましたよ。
「これは会社でもないし、事業として進めている最中で、まだ何も生んでいないんです。結果も、お金も。だから、ぜんぜんすごくないんです」

それでも、二人の間に生まれた何かがそれで消えることはありませんでした。

ほんとうに不思議な話です。


それでも、なぜ「主宰」と名乗るのか

では、なぜ、そんな私が「主宰」なんて名乗るのでしょうか。

私がやっていること、そしてこれからやろうとしていることには、確かな意義があると自負しています。
ただ、約5年越しの挑戦ではあるものの、まだ誰にも知られていません。

もっと言うと、私以外に、こんなことを事業にしようと考えている人に、出会ったことがないんです。
もしかすると、考える人はいるかもしれませんが、「こりゃあぜんぜん割に合わん」と止めてしまうでしょうね。

誰もやっていないから(ブルーオーシャンだから)やるわけではありません。
誰にもできない、私にしかできない、という自惚れでもありません。

この根深い問題には、みんな、薄々気づいているはずなんです。
先代経営者も、後継者も、そして税理士さんや銀行の融資担当さんも。
それこそ、みんなですよ、ほんとうに。

だけど、誰もが思っているはずです。
「どうしていいかわからない」と。

そしてさらにいうと、今は、「この問題は、私の役割です」と言う人が、いないんです。

それには、理由があります。
一つは、極めてセンシティブな心の問題が絡むこと。
もう一つは、一度首を突っ込んだら、深すぎて抜けられないほど時間がかかること。
そして、組織論に通じていないと、人間の数だけある価値観とつじつまが合わず、途端に破綻に向かう可能性があること。

それは、誰も手を出したくないですよね?

「それだったら、あなたはなぜそんなことに取り組んでるんですか?」
そう聞かれそうですね。


「私が、もう限界なんです」

あの、勘違いしないでくださいね。
私には、人より秀でた正義感があるわけではありませんよ。

ただ、心理カウンセラーとして、たまたまなのですが、二代目経営者さんの話を聞く機会が多くありました。

最初は、こんな会話でした。

「うちの会社、私は二代目なんですがね、経営は順調なんです。正直、黒字で安定して見えます」
「ほう、素晴らしいですね。何か問題でも?」
「いや、実は、廃業を考えていまして……」
「え? それはまた、どうして? 黒字で安定しているんですよね? 社員さんもたくさんいらっしゃるんですよね?」
「ええ。でも……私が、もう限界なんです」

普通なら、考えられない会話ですよね?
何かおかしな力でも働いているのかと、疑いたくなるような内容です。

ところが、それから私は、同じような闇を抱える二代目社長に、立て続けに出会うようになりました。
紹介からの出会いとは言え不思議なことです。

でもね、お恥ずかしい話ですが、その時の私には、何もわからなかったのです。
どうしようもなかったんです。

そこから、研究が始まりました。
仮説を立てて、それをもとに理論を組み立てて。
もちろん、すべてが解決したわけではありません。

それでも、理論として形になり、「これなら行ける」と思えたから、今があります。

(ちょっと駆け足過ぎますけど、追々お話ししますね)


名乗りは、引き受けるということ

だからというわけではありませんが、「主宰」という名乗りは、私にとって肩書きではないんだと思います。

誰も「私の役割です」と言わない問題を、「私が引き受けます」と言うこと。
名乗りを変えた日に変わったのは、たぶん、それだけです。

考えてみれば、継いだばかりの二代目さんも、同じ体験をしていますよね。
昨日まで「若社長」と呼ばれていたのに、ある日から「社長」と呼ばれる。
本人は何も変わっていないのに、周りの顔だけが変わるわけです。

肩書きが先に歩いて、中身があとから追いかけていく。
65歳になって、私も今、ちょうどその追いかけっこの最中なんです。

ゆっくり追いつきますので、どうぞ、見守っていてくださいね。

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「思考資産」承継デザイン研究所
霧香ゆうひ(夕燈)
デコーダー/心理カウンセラー/作家


著者プロフィール
kirika-yuhi

著者:詳細プロフィール

「思考資産」承継デザイン研究所 
所長: 霧香 ゆうひ(夕燈) デコーダー/心理カウンセラー/作家

1961年生まれ。広島を拠点に全国の事業承継現場で、経営者と後継者の「魂の同期」を支援する専門家。
30年のHRキャリアで組織の力学を、14年の心理カウンセラー経験で人間の深層心理を、11冊の著書を通じて言葉の精錬技術を磨いてきました。

この三つが交わる場所に、私の専門領域があります。

私が提唱する「思考資産」とは、経営者の脳内に点在する「記憶・判断・哲学」をデコード(解読)し、次世代が迷わず使える「経営深層論理(DDL)」として構造化したものです。

法的・税務的な手続き(箱の整理)は専門家に委ね、私はその「中身(魂)」を救い出すことに全力を注ぎます。

一人の経営者の暗黙知を救うことは、組織を救い、文明が積み上げてきた知恵の総量を守ることに繋がる——これが、私がこの仕事を続ける理由です。

3万人超の事業承継・組織再生の現場に伴走してきた、日本唯一のデコーダー。

霧香ゆうひ

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